硫黄泉とは

温泉特有の香りてなじみ深い硫黄泉

硫黄泉はその名の通り硫黄化合物を含む温泉で、日本には比較的多い泉質で、卵が腐ったような独特の香りがあります。
日本人の多くが温泉の香りとして思い浮かべるのが、硫黄泉の匂いだといわれています。

硫黄泉は、硫黄型と硫化水素型に分類されます。
硫黄型は硫化水素イオンとチオ硫酸イオンが主体で、中性~アルカリ性のpH値を示す傾向があるのが特徴です。
色は無色やエメラルドグリーンで、アルカリ性が強い場合はとろりとした肌触りをしており、湯上がりはお肌がつるつるになります。

これに対して硫化水素型は遊離硫化水素が主体で、pH値は酸性を示す傾向があります。
色は、乳白色をしています。
そして、硫黄泉独特の匂いは、この硫化水素によるものなのです。

酸性が強い場合は肌への刺激が強いので、ピリピリする感じがあります。
日本には全国各地に硫黄泉があり、その中でも神奈川県の箱根湯本温、群馬県の草津温泉や万座温泉、長野県の野沢温泉などがよく知られています。

硫黄泉の効能は?

硫黄泉にはさまざまな効能がありますが、主な効果として知られているのがアトピー性皮膚炎、尋常性乾癬などの皮膚系のトラブル改善です。
硫黄泉は殺菌作用が高いので、これらの症状を和らげる働きがあり、切り傷の治療にも良いとされています。
また、糖尿病や高コレステロール血症などの生活習慣病にも効能があります。
硫黄泉は「生活習慣の湯」とも呼ばれており、特に飲用では糖尿病や高コレステロール血症などが適応症とされています。

婦人病にも効果があるとされており、血行促進作用もあるため冷え性の緩和にも効果的です。
このほかにも飲用の効能として、胆石症などの胆道系の疾患や便秘の改善など、さまざまな効果が期待されています。

ただし硫黄泉は温泉地などによっては硫黄の含有成分や含有量が異なるなため、泉質はさまざまです。
各温泉によって効能が変わるので、温泉ごとの適応症を確認しましょう。

湯あたりに注意

湯治の湯として人気の高い硫黄泉ですが、効能が高い一方で湯あたりしやすい泉質といわれていますから、長風呂は控えましょう。
また、酸性度が強い場合は刺激が強く、肌荒れが起きることもあります。
湯上がりにはシャワーなどで、温泉の成分をしっかりと洗い流すようにしましょう。
特に敏感肌の方やお子さん、お年寄りは注意が必要ですし、妊婦さんも避けた方がいいでしょう。

また、アクセサリーなどの金属製品を身に付けて入浴すると、酸化作用で変色することがあります。
指輪やピアス、ネックレスなどを身に付けての入浴はおすすめできません。
硫黄泉の効能や注意点を把握して、安全で快適に温泉を楽しみましょう。