温泉をのんでも大丈夫?

温泉を飲んで内側から健康に

温泉は広い湯船でくつろぎながら、薬効成分によって心身をリフレッシュできるのが魅力です。
しかし入浴だけでなく、温泉を飲むという湯治方法もあります。
温泉を飲んで、その薬効を得ることを「飲泉」といいます。

飲泉による効果は含まれる成分によって異なりますが、主に便秘改善や胃腸機能の改善、生活習慣病の改善などが期待できるとされています。
浴槽への入浴は内臓に限らず、筋肉や関節の痛みの改善など運動器に働きかける効能も多くみられます。
しかし飲泉の効能は、内臓器官への働きかけが主体となっています。

日本人はいつから温泉を飲んでいたのか?

日本では、飲泉よりも入浴を主体とした温泉の楽しみ方が一般的です。
しかし、680年頃に持統天皇が飲泉を病気の治療に活用していたという記述が日本書紀にみられることから、古い時代から飲泉が行われていたと推察できます。
歴史的文献はその後しばらく途絶えますが、江戸時代中期に『四万由来記』や『一本堂薬選續』といった書物に飲泉の効能や注意書きが記載されています。

このことから分かるように、日本では飲泉の文化はそれほど盛んではなかったようです。
これに対して欧米では、古くから医学療法として飲泉が普及していました。
明治時代になると海外から医師が来日し、日本にもヨーロッパの医療技術がもたらされます。
日本の近代医学の進歩に貢献したベルツ博士が明治期(1880年)に書き記した『日本鉱泉論』には、飲泉についての詳しく記述がみられます。

温泉を飲むときの注意点

飲泉は体の内側から温泉の効能を取り入れる温泉療法ですが、すべての温泉が飲用に適しているわけではありません。
特に、不特定多数の人が入浴する温泉は衛生面の問題があります。
また、温泉にはヒ素や水銀など体を害する成分が含まれていることもありますから、必ず保健所が飲用が許可している「飲用の温泉」を飲むようにしましょう。

また、持病がある方には症状が悪化することもありますので、お医者さんに相談してから飲むようにしてください。
飲泉が可能な温泉では、飲用上の注意書きが掲示されています。
安全に飲泉を楽しむためにも注意書を読んで、安全には十分に注意しましょう。

飲泉は、飲む量が多いほど効果が上がるわけではありません。
適量はコップ1杯弱(100~150ミリリットル)で、ガブガブ飲み干すのではなく、ゆっくりと噛むように飲みましょう。
こうすることで、薬効を吸収しやすくなります。

入浴だけでも心身に効用がある温泉ですが、飲むことによって体の内側からも効能が期待できます。
飲用が可能な温泉をみつけて、飲泉にチャレンジされてはいかがでしょうか。